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11月に読んだ本2015

 もう十二月。また今年も何もしないままに過ぎていく感じです。
 ていうか、手元を見ればやっているのは2016年の仕事なわけだけど。
 そんなこんなで、十一月の読了本。

 42.金庸(監修:岡崎由美 訳:林久之 伊藤未央)「女越剣」
 43.北山猛邦「人魚姫 探偵グリムの手稿」
 44.皆川博子「倒立する塔の殺人」
 45.佐藤亜希「金の仔牛」
 46.円城塔「プロローグ」

 以前(だいぶ前)に、「武侠物なんかどう? 金庸とか」と勧められたときに、最初から何巻にもわたるのはちょっとと思って一冊で終わるものを選んだのだったと思う42。もう何年も寝かせてしまったので、なにがどのように「どう?」と勧められたのかもあやふやなのですが、とても楽しめました。三篇の物語がはいっているのですが、特に「鴛鴦刀」が面白かった。これが武侠物の典型だとすれば、なるほど目指すところのひとつではあるかなと感じます。
 いっとき、とにかく誰かが勧めている本を読もうと思っていた時期があって、誰かが勧めている以上大きく外れることはないだろうし(実際はそんなこともないのだけれど)、その本を勧めた人のことも多少なりと知れるだろうから、という流れで購入した記憶がある43。ただ、買ってから間があいてしまったので、誰がどこで勧めていたのかを覚えていないというありさまなのですけど。あの人魚姫の姉だという女性が泡と消えた妹が王子を殺したとされる事件の真相をアンデルセン少年と旅の画家グリム氏とともに追いかけるという物語。激しく感動したとか魂が震えたというたぐいのものではありませんが、楽しめました。しかし、誰が勧めていたのだったか。
 発売当時に買ってそのまま放置してしまっていた44。って、そんなのばっかりだな。戦中戦後の日本を舞台に、空襲で亡くなった少女がなぜそのときそんな場所にいたのかという謎を解く物語。核になるのは少女たちの間で書きつがれていった「倒立する塔の殺人」と題された小説。という階層構造になっている。ちょっと軽めな作品だけれど、やっぱり皆川博子はよいなと感じます。細部が丁寧なんだよね。
 佐藤亜希初体験の45。これはツイッター文学賞かなにかの放送で紹介されていたのに興味を惹かれたのだったと思う。やっぱり人の勧める本をという動機だね。経済がまだ銀本位金本位で紙幣の信用さえあやしかった時代のフランスで行なわれる仕手戦というかマネーゲームというか、株売買でのし上がっていくそんな物語。史実をもとにしてバブルに浮かれていく様を描きながら、ボーイミーツガールの物語だったりする。主人公を軸に考えると、ちょっと起伏に乏しいかなと思うのだけど……もしかすると本当の主人公は彼女のほうだったのかしら……それでも、充分に面白かった。なにより、謡うような文章が心地よかった。
 そして、三か月連続の円城塔……と書きたいがために、それまで読んでいた本を途中でなげだして読みだした46。先月読んだ「エピローグ」と対をなすようなタイトルになっていますけど、直接的な関係はありません(たぶん)。私小説を自称しているけれど、そんなに整然としたものではなく、混沌とした様相の小説。コラムかエッセイなのではと思う部分もあったりも。その実、小説を書く機械になることを標榜している著者の今現在の形であるのだと感じる。そう言う意味では、なるほど私小説であるし、これはそんな行為のプロローグであるし、「エピローグ」はその果てにあるものである感じもする。そんなあたりを踏まえ、セルフディファレンスエンジンを読み直してみるべきかしらという気になっている今日この頃であります。
 そう言えば、プロローグの中で言及された作家の(収入の)現状と同じ内容を、先日TY氏がツイッターで呟いていて、逃れざる実状なのだと痛感し本気で暗澹たる気持ちに……って、俺自身が同じようなことをここに書いてるわけだけど。

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