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『ヒッキーヒッキーシェイク』

 どうして、スカボロー・フェア? とは、何年か前に見に行った舞台のとき、トークセッションで僕がした質問。その時、舞台上に演者、脚本家の方々とともにゲストとしてTY氏がいました。
 不気味の谷について話をしたこともあったと思う。僕がホブゴブリンを飲んだときにも、隣に氏がいた。というか、氏に連れていったもらったパブでその時はじめてホブゴブリンというエールを知りました。実際、名前が気にいって注文したものです。ちなみに、

Hobgoblin
 これがラベル。あまりに気にいったので、そのとき瓶をもらってきたのです。柔かくて飲みやすかったし、あまり苦かったという印象はのこっていないですね。

 というように、この物語を構成している要素のあれこれはTY氏の日常の中にころがっていたものであり、それは同時に僕の近くにも転がっていたはずのものなのである。だからこそ、数年前に氏にこの物語のアウトラインを聞かされその面白さにひとしきり興奮した後に、なぜ俺じゃないのか……より正確に記すなら、なぜ俺はそこに至れないのかという悔しさに身悶えすることになったわけですよ。
 ただ、実際に読み終えて少し救われたのは、この小説が僕の(ための)物語ではなかったこと。
 などと書くと、何を不遜な、あるいは何をあたりまえのことをと誹られるかもしれないのだけれど、世の中にはあるのですよ、自分のために書かれたとしか思えない物語が。あるいは自分が求めている物語と言えるのかもしれない。それは、あるときは大きな救いになるのだけれど、時として身動きがとれなくなるくらいにがんじがらめにされることもある。実際に、僕は一度そうした物語に本気で動けなくなったことがある。それが何かというのは、別の話としようと思うのだけど……実のところ、その小説を僕に勧めたのもTY氏だったのでした。

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