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十一月に読んだ本2020

 とうとう今年も一か月を残すのみとなってしまいました。何もしていないのにあっという間でびっくりします。
 11月はいろいろとあって気持ちの浮き沈みが激しくて、いまもまだくらくらと眩暈がしているような日々の中にいたりするわけですけど、そんな11月に読んだ本です。

20.井上真偽「ムシカ 鎮虫譜」
21.小林泰三「見晴らしのいい密室」
22.小林泰三「未来からの脱出」

 先月が0だったこともあり、なんとか3冊。
 それぞれに何らかの悩みを抱える音大生たちが現状打破のためパワースポットを求めて訪れた瀬戸内の孤島で遭遇する出来事を描いた20。随分と難儀しました。しばらく面白いと感じないというか、何を楽しむ小説なのかがつかめなくて、遅々として読み進められなくて、面白くなったのは3分の1以上進んでからかな。そこまでは、好きな作家の新作だからと我慢して読み進めた感じはありました。最終的にはとても面白かったので、よかったと思います。
 ミステリのようなタイトルだけれどSFの短編集の21。どの作品も基本的に論理的に展開されていくガチガチな物語なのですが、登場人物たちが皆どことなく理屈っぽくて滑稽ですらあるという、少しずれた感じがすばらしいです。「未公開実験」なんかは、そのずれ(違和感を含む)と滑稽さをよく味わえて、最後にあらぬころに連れていかれる感じが心地よくて、いかにも小林泰三って感じでおすすめです。
 去年の11月から今年の6月に連載されて8月に刊行された新作の22。驚くくらいにオーソドックスなSFでした。小林泰三って根っこがホラー作家でそうしたグロテスクさみたいなのものが常にある感じなのですけど、それが薄め(全くないとは言わない)で、ミステリとホラーのエッセンスがきれいに溶け込んだライトSFだと思います。ライトといっても基礎理論の部分はしっかりしてるのは言わずもがな。小林泰三未読の人にも安心しておすすめできる作品かと。

 二作続けて小林泰三なのは本当にたまたまで、確か「未来からの脱出」を読んでいる最中に氏の訃報を目にしました。友人からのLINEでした。おもわず「は?」と声に出してしまいました。まだ若いし、こんなに面白い小説を書く現役作家の突然の死というのは、すぐには信じられなかったし、事実として受け止めてからは悲しくてたまらない。
 楽しさをありがとうございました。

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