« 笑えない笑い話はそこそこあるけどイラっとするのはまれ | トップページ | 思い出話などを少しだけ »

九月に読んだ本2023

 毎年このくらいの時期になると、暑さ寒さも彼岸までというのは案外正しいのかもしれないと思っていたものなのですけど、今年はちょっとしつこすぎじゃありませんか。もう10月に入ったんですけど。
 というわけで、9月に読んだ本の話です。

17.有栖川有栖「長い廊下がある家」
18.浅倉秋成「六人の嘘つきな大学生」

 2冊です。
 いつも通りな感じですけど、月の前半にずっとマンガを読んだいたから物語の摂取量は普段より少し多めかも。最近完結したといことで「違国日記」と「重版出来」を。どちらも、物創りをする人の話だったため、胃がきゅっとなる感じが多々。
 閑話休題。
 火村英生を探偵役としたシリーズの短編集である17。四編収録。もう長いシリーズだし、細かくどうこうというところもないわけですけど、四編それぞれベクトルが違っていてとても面白かったとだけ。個人的に好きだったのは「天空の眼」……火村先生出てこないけど。
 少し前にけっこう話題になっていた記憶のある18。文庫になっていたのを見かけて手に取ってみた次第。構造はミステリで、おそらく謎が主体なんだろうと思うのだけれど、個人的にはそんなことはわりとどうでもよくて就活小説として本当に面白かったという感想。
 で、ちょっとネタバレになる気のする感想も。
 とあるIT企業の新卒採用試験で最終選考に残った六人。最終選考はグループディスカッションで成果によっては六人全員を採用する可能性もあると言われ協力してその準備に取り掛かる、が直前になり採用は一名ディスカッションでその一人を候補者六人自身で選出すると選考内容が変更7されるというはじまり。大まかな構成として、就活時期の前半と数年後の物語を描く後半の二部構成になっている。で、前半部分に後半の時制から当時を振り返るインタビューパートが挟まれるという構造になっているんですけど、その最初のインタビューパートにあったしかけがわりとあからさまだったので、前半の構造がそこで見えてしまった(この時点で、事件とよべるものはまだ起こっていない)。少なくとも、採用されたのが誰で誰が犯人とされるのかはここでわかる。二部構成になっているので、その役割自体がひっくりかえされるのだろうというところまでは見えた。ものによっては、この時点で興醒めして楽しめなくなる物語もある(というか多い)のだけど、この話はそうはならずに最後まで楽しめた。
 いくつかの場面で、尻切れトンボのようにシーンが切れてこれってなんなの、この後何があったわけ。とか、どうしてこういうことが書かれているのだろうとか、これは何とかひっかかる部分がたびたび現れるのだけど、それらはすべて最後に意味を持っていると判明する。意図的で自覚的な物語だということ。まあ、身振り手振りが少し大きいということでもあろうかと思うわけですけど。
 もう一度いう。とにかく就活小説として本当に面白かった。

|

« 笑えない笑い話はそこそこあるけどイラっとするのはまれ | トップページ | 思い出話などを少しだけ »

読書」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 笑えない笑い話はそこそこあるけどイラっとするのはまれ | トップページ | 思い出話などを少しだけ »